真夏の怠惰を落ちるスピードで
瞬く業火に溶けてしまっても
蝕む濃霧と焼けるイメージで
僕らは確かに走った
真昼のアートをかき消すライトが
強い日差しに消えてしまっても
昨日の大火を写したフィルムで
僕らは明日に祈った
雨季に掲げた誠意は
木立の背後に隠した
父と眺めた景色は
今では背徳と嘘に変わって
生まれた街や悔やむ過ちは
久しくなるが消えないのですか
思えばわずかうねりだす日々は
写す術はないがまだつつがなしや
ああ
下り坂が終わるまで
絡まる怠思を僕は止められない
黄泉にたまる淀みただ一筋の血なれど
呼吸の合間を潰した頻度で
隠しきれない失意があっても
汚れたオイルも切れたホイールで
僕らは確かに走った
途絶えた線路を描き足すプライドが
一夜のスコールで流れてしまっても
あなたのカフスをなぞるスケッチで
僕らは明日に祈った
取るに足らない歴史は
黒地のキャンバスに濡れた
とわに捧げた敬意は
今でも足取り正すような明かりで
このハリボテの目にさえ焼き付いた笑み
まだ悴んだ手には薄くなった傷
ああ左の波にも漁火出て
瀬を早み言葉は今となればナイトライド
底から底落ちるだけ
閉じられた生は僕らの炎を切る
満たされないことだけで
満たされる人生の果てで
真夏の怠惰を落ちるスピードで
瞬く業火に溶けてしまっても
蝕む濃霧と焼けるイメージで
僕らは確かに走った
真昼のアートをかき消すライトが
強い日差しに消えてしまっても
昨日の大火を写したフィルムで
僕らは明日に祈った